2014年01月13日

汎用人工知能(AGI)の究極ゴールとしてのPhysical AI

Physical AIについては,何から説明したらよいか悩むところではある.

そこでまず最初に説明したいのは,
Physical AIは,人工知能(AI),特に汎用人工知能(AGI)の目指すべき究極のゴールであると同時に,そのゴールを設定しようとする試みであるという点である.

生物が生き残るためには"どのような状況に対してもそれなりに対応できる汎用性"は明らかに重要であり,肉体的には特に強みのない人間という種が反映している原動力であろう.
汎用的な知能の創造を目指した研究は,21世紀に入ってAGI(artificial

general intelligence)という研究分野として再興してきている.また松原仁氏は最新のAI学会誌(Vol.29,No.1)のレクチャーシリーズ「人工知能とは?(7)」において,この点を強調している.
知能システムに限ったことではないが,一般的に言って特化したシステムほど,その実現においての性能や効率を高めることができる.

これは,ノーフリーランチ定理no-free-lunch theoremNFLT(Wolpert and Macready, 1995)で言われている,"コスト関数の極値を探索するあらゆるアルゴリズムは、全ての可能なコスト関数に適用した結果を平均すると同じ性能となる"と表裏一体である.

この関係を概念的に示すために,汎用性(general-purpose)と計算量の二つの軸において,それなりに効率的に実装された知的なプログラムをプロットすることを考える.すると,汎用性を高めるほど計算量が急激に増大するような曲線の上に,概ね分布するであろう.

 

PhysicalAIとは-1.png

図1: 実現可能な究極のAGIとしてのPhysical AI
 
理論的には,あらゆる知的プログラムの可能性を組み込んだ,ユニバーサルAIを考えることができ,例えばMarcus Hutter (http://www.hutter1.net/) によるAIXIなどの研究がなされている.ユニバーサルAIは現実的な計算量で実行できず,実用的な意義はないが,理論的な研究においての価値は高いと思われる.(今後説明予定)

一方で現状のAIは,しばしば人間の能力を上回りながらも,特定の目的に特化しており,しばしばNarrow AIと呼ばれる.

対して人間の脳は,Narrow AIに比べても,また他の動物の脳に比べても経験を積むことで多くの問題に柔軟に適応できる汎用性を持っている.(ただし,生物学的な制約も多いために知能計算として究極的なレベルであるとは考えられない.)

そこで,人の脳よりも汎用的なAGIの究極的な姿がなんであるかと考えるならば,それは我々が生きている物理世界の一般的な制約に基いて計算量を現実的なレベルにダウンスケールした知能の形ではないかと考えられる.

そこで,私は,これをPhysical AIと呼ぶことにし,それがAGIの究極のゴールになるのではないかという考えに至った.

posted by hymkw at 00:41| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: